渡邊真弓さん / 今日からできる!写真の撮り方2~基本編~

こんにちは。写真、楽しんでいますか?

さて。前回は「AUTO機能から一歩前へ―ほんわかゆるゆる写真を撮るための4つの基本ルール」ということで、カメラを始めたばかりの方にぜひ実践してほしいことをご紹介しました。

今回はさらに一歩前へ。絞りとシャッタースピード、ISO感度、ホワイトバランス、について一緒に勉強していきましょう。

難しく構えなくても大丈夫ですよ。まずはさらりと概略をつかんで、カメラと一緒に試行錯誤してみましょう。そしてある程度マスターできたら、もっと深く学習する・・・というのがカメラという機械への苦手意識をなくすコツです。

1.絞りやシャッタースピードと仲良くなろう

前回、「絞り優先でボケ感が豊かな写真を撮ろう」ということで、絞り値(F値)が例えばF2.8やF3.5のように小さいほうがボケ感の強い写真が撮れること、この絞り値を自分でコントロールしたいときは「絞り優先」モード(Av、A)を使うと便利なことを簡単にお話しました。

今回は絞りとシャッタースピードについてもっと詳しく説明しますね。

絞りとシャッタースピードはバラバラではなく密接な関係を保ちつつ、2つの役割を果たしています。

役割その1

絞りもシャッタースピードも、ざっくり言うと、カメラの中に光をどのくらい取り入れるかをコントロールするもので、それぞれ、絞りは光の量を、シャッタースピードは光を入れる時間をコントロールします。

よく絞りとシャッタースピードの関係をコップに水を満杯まで入れるシーンに例えることがあります。

コップに一度にたくさんの量が入るのであれば満杯になるまでにかかる時間は短くてよいですが、少しずつの量しか入らないのであれば時間は長く必要となります。

コップに水をいれるとき、少しずつの量しか入れないけれど短い時間で満杯にしたい、ということは難しいですよね。

絞りとシャッタースピードにも同じような関係性があります。

すこし考えながら読んでみてください。

例えば、F16、F22といったように絞りを絞ると取り込む光の量は少なくなりますから、シャッタースピードを遅くして光を取り込む時間を長くする必要があります。逆に絞りを開放値に近く(つまりF値を小さく)すればするほど絞りで取り込む光の量は増えるので、シャッタースピードは速くて良くなります。

これが、光をどのくらいカメラに取り入れるのかという点での絞りとシャッタースピードの関係です。

役割その2

さらに、絞りとシャッタースピードにはもうひとつ重要な役割があります。

絞りのもうひとつの役割は、どのくらいの範囲にピントをあわせるかを決定するということです。

F値はレンズによって異なりますが、数字の小さいほうがピントのあう範囲が狭くなりその前後がボケやすくなります。シャッタースピードのもうひとつの役割は、動きをコントロールするということです。シャッター速度が速いと動きの瞬間を、遅いと動線の様子を捉えることができます。
これらの役割は「どんな写真を撮りたいか」という撮影者の意図と重要に関わってきます。

まとめとして、この2枚の写真を見てみましょう。

曇りで陽ざしの入りづらい室内で撮ったのでISO640に設定しています(ISO感度は次にお話します)。

さて、この2枚を見比べてみましょう・・・そうです、絞りとシャッタースピードが違います。

写真全体の明るさに注目してみましょう。

どうですか?絞りとシャッタースピードは違うけれど、結果として同じ明るさで撮れています。これは役割その1のお話です。

今回は静物を撮りましたので、絞りに注目してピントのあう範囲をみてみましょう。

F3.2のほうがボケ感が豊かですね。これは役割その2のお話です。

どうでしょう? 絞りとシャッタースピードの関係についてなんとなくイメージできたでしょうか。

今はなんとなくで構いません。まずは撮ってみる、これが大切です。

さて、カメラを見てみましょう。

一部のコンパクトデジタルカメラを除いて殆どのデジタルカメラにはAv(A)、Tv(T、S)、Mといったダイヤルがついています。
Av(A)は絞り優先モードといい、絞りを自分で決定し、それにあわせてカメラがシャッタースピードを決定します。

逆にTv(T、S)はシャッター速度優先モードといい、シャッタースピードを自分で決定し、それにあわせてカメラが絞りを決定します。

Mはマニュアルといい、絞りとシャッタースピード両方を自分で決定するものです。

まずは、絞り優先モードとシャッター速度優先モードを使って、絞りやシャッタースピードと仲良くなりましょう。

絞り優先モードは、風景、テーブルフォトなど動きのない場面を撮るのに適しています。

シャッター速度優先モードはスポーツシーンや流れる水など動きのある場面を撮るのに適しています。

シャッタースピードが遅い場合は手ブレをする可能性がありますので、カメラをしっかりホールドすることはもちろんのこと、場合によっては三脚やテーブルなどを使ってしっかり固定することも考えてみてください。

こんな風にシャッター速度を変えることで、印象的な写真を撮ることができます。

2.ISO感度ってなぁに?

ISOという文字、カメラのモニター画面などで見かけたことがあると思います。ISO(イソ)感度とは簡単にいうと「光に対する感度」です。

ISO感度はカメラによってその(最低と最高の)範囲が違います。例えば私が最近購入したコンパクトデジタルカメラでは「160~3200」の範囲でISO感度の設定ができます。

みなさんのカメラはどうでしょうか?ぜひカメラで確認してみてくださいね(操作が分からないときはマニュアルを活用してみましょう)。

さて、ISO感度を変えるとどう違うのか、見てみましょう。

日が沈んで暗くなった部屋で撮影しました。明かりは斜め右側の天井についています。

どうでしょう。ISO感度を変えると、絞りとシャッタースピードは同じなのに結果が異なる写真となりました。そこで、ISO200でもう一度撮ってみました。

さきほどのISO200の写真とどこが違うかわかりますか? そうです、シャッタースピードを遅くして光を長く取り込むようにして撮りました。

ここまでシャッタースピードを遅くすると、手持ちでの撮影では手ブレしてしまいます。そのため三脚を使って撮影をしました。

このように、写真を撮る際は、まず適切なISO感度を設定し、その設定をもとに自分のイメージが実現できる絞りとシャッタースピードを選択して撮影を行います。 ISO感度をAUTOにするとカメラが適切なISO感度を設定してくれますが、ISO感度の特徴をつかみ自分で意図的にコントロールをすると、いっそう写真表現が豊かになります。

ISO感度についてまとめてみましたので、それぞれの特徴をつかんで、ぜひチャレンジしてみてくださいね。

ISO感度のまとめ

ノイズについてはカメラごとに違いがあるので、一度自分のカメラでISO感度の設定を変えて撮影し、「自分にとって許容できるノイズの範囲はどこまでか」を知ることをお勧めします。

シーン別のISO感度のだいたいの目安はこんな感じです。

3.ホワイトバランスではじめる、色表現の第一歩

ホワイトバランス(WB)とは「白いものを白く写すための機能」です。

光に注目してみましょう。太陽光、電球、蛍光灯・・・ひとくちに「光」といってもいろいろな種類の光があり、その光ごとに色が違うことに気がつくと思います。難しく言ってみると「光源により色温度が違う」ということになります。

人の目はとても性能が良いので、色温度が違う光の下でも常に白色を白色と認識することができますが、カメラはそこまでできません。そこで、登場するのがホワイトバランスという機能です。

いろいろな光源のもとで撮影を行ったとしても、ホワイトバランスのおかげで、人の目で見るのと同じように適切な色の写真を撮影することができるようになります。

ホワイトバランスはオートにしている方が殆どかと思いますが、もしオートで撮影した結果が自分の意図と違った場合は、ホワイトバランスの設定を自分で変えてみると、意図する結果を得ることができるかもしれません。

ホワイトバランスをいろいろと変えて撮ってみました。

ホワイトバランスを変えると、ガラっと印象が変わりますよね。

ホワイトバランスを変えていつもと印象の違う写真を撮る、なんて感じに楽しむこともできますよ。

おおまかにまとめると、くもりや日陰はオートより暖色系が増すので柔らかく暖かみのある印象となり、白色蛍光灯や白色電球はオートより寒色系が増すのでクールで涼やかな印象となります。しばらくの間は、まずオートで撮って色のイメージをつかんでから、ホワイトバランスを変えてみる、というのをおススメします。

ホワイトバランスの種類はカメラによって異なります。まずは自分のカメラのホワイトバランスをチェックしてみましょう。

カメラのホワイトバランスはある一定の保存形式を除いて撮影時に決定する必要があります。もし撮影時に決めかねたり、あとで変えたいと思ったら、そのときは PaintShop Pro を思い出してみてください。

PaintShop Pro の「カラーバランス」という機能を使うと同じことができますよ。

「カラーバランス」を使ってみよう

  1. 「調整」から「カラーバランス」を選択します。
  2. スマートホワイトバランス」にチェックをいれます。
  3. 「温度」のスクロールバーを希望する色味のほうへスクロールさせます。

例えば、先ほどの写真。
少し暖色系にして、赤みを増すようにしてみました。背景の赤い感じが優しさを演出しています。
このように、少しの差で結果が違ってきますので、いろいろ試して好きな結果をさがしてみてくださいね。


渡邉 真弓 / Mayumi Watanabe

札幌で活動するフォト・クリエイター。
写真の撮影、執筆や写真を使った雑貨の製作など、写真にまつわる活動をしています。
愛用のカメラはPolaroid690、Canon EOS5D、Minolta AUTOCORD。
共著『Cute Photographer~おしゃれな写真が撮れる本~』(翔泳社2008年5月)や女子カメラ等の雑誌に掲載。
2009年からAMUCHOCOカメラ教室(札幌市)を始め、ときどき北海道新聞「とまこむ」紙面カメラ講師も。
2011年5月アルテピアッツア美唄にて個展「air」を開催。

Website “allo?”
http://www.allo-japon.com/

Twitter
@allo_mayumi

撮影協力:
スゥイーツカフェ AMUCHOCO(札幌市)
http://www.amuchoco.com/

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