渡邊真弓さん / 今日からできる!写真の撮り方3~基本編~

デジタルカメラと一口で言っても、デジタル一眼レフ、コンパクトデジタルカメラ、デジタル一眼(ミラーレス一眼)とたくさんの種類があります。

その中でも今日特集するコンパクトデジタルカメラは操作が簡単で価格も安いので、一番気軽に始められるカメラだったりします。

さて、上の写真を見てください。どの種類のカメラで撮ったかわかりますか?
・・・実は、コンパクトデジタルカメラで撮りました。コンパクトデジタルカメラでも、こんな風にニュアンスのある写真を撮ることができます。「デジタル一眼レフじゃないから・・・」と諦めていた方、ぜひぜひ今回の特集をご活用くださいね。

コンパクトデジタルカメラ(以下、コンデジ)とデジタル一眼レフカメラの違いはどこでしょう。簡単な表にしてみました。

コンデジはデジタル一眼レフと比べてはるかに軽くて小さいです。薄いのでカバンに入れて持ち歩くことも簡単です。また、シーンモードがとても充実しています。

そして、撮影時に明るさや色味などを変更した場合は、その結果がすぐ液晶モニターに反映されるので、撮影前に「どんな写真が撮れるのか」を知ることができます。

ただし、一眼レフカメラのように用途にあわせてレンズを交換することはできません。なので、購入の際は、カメラ本体の軽さ・大きさだけではなく、レンズにも注目してみましょう。望遠・接写できる距離、レンズの明るさが注目ポイントです。あわせてズームがデジタルズームなのか光学ズームなのかも確認しましょう。デジタルズームは画像の一部を拡大してズームしたように見せるというものなので、画質が荒くなることがあります。

また、光を情報に変換する撮像素子が小さいので、撮像素子の大きいデジタル一眼レフで撮るような階調豊かな写真を撮ることはできません。またデジタル一眼レフのようなボケ感のある写真を撮ることも苦手です。

どんなものにも長所と短所があります。コンデジの長所と短所を理解したうえで、機能を活用したニュアンスのある写真を撮ってみましょう♪

1.シーンモードを活用しよう

豊富にあるシーンモードを活用してみましょう。希望のモードを選ぶと、カメラがISO・絞り・シャッタースピードを全て適切に設定してくれる便利な機能です。
例としてひとつご紹介しますね。
いつものカフェのランチ。今日はパスタでした。美味しそうなので、軽くて持ち歩きしやすいコンデジをカバンから取り出して 「自動モード」 でパチリ。

こんな風に撮れました。本当はもっとパスタに近づきたかったのですが、これ以上近いとエラー表示が出てシャッターがおりませんでした。残念・・・。

・・・と、そんなときはシーンモードの登場です。  「食事」 というモードを選択してみましょう。食事モードは自動モードより被写体に近く寄って撮ることができます。 今回使用したコンデジはモードで撮影をする時に暖色・寒色のどちらかに色味を少しずつ変えていくことができました。そのままだと少し白っぽい感じだったので暖色気味にして色を実際のパスタに近づけました。

どうでしょうか。自動モードのように暗すぎることもなく、自然な感じがしませんか?
こんな風にそのシーンに合わせたモードにすることで、もっと自分のイメージに近い写真を撮れるようになりますよ。シーンモードへの設定方法や種類についてはお手持ちのカメラのマニュアルでご確認くださいね。

2.「ボケ感がない」ことを逆手にとってみよう

一眼レフのようにボケ感豊かな写真を撮ることはできません。けれど「ボケない」ということは、逆に言うと「全てにピントがあう」ということです。 全てにピントが合っていたほうが良い写真・・・例えば集合写真など・・・は、デジタル一眼レフに不慣れで絞りやシャッタースピードについて悩むのであれば、コンデジで撮ったほうが短時間で済むし失敗が少ないような気がしませんか? 「全てにピントがあっていたほうが良いとき」はほかにもありそうです。

また、こんな風に、光と影のコントラストに注目したり、物の配置に工夫をしたり、そんなちょっとしたことでボケ感がなくてもニュアンスのある写真は撮ることができます。

逆転の発想で、「全てにピントがあっていてもニュアンスのある写真」にぜひチャレンジしてみてください。それはきっと、光や影のあり方に注目したり、被写体をよく観察することに繋がります。

3.実はできる!コンデジで一眼レフのような「ボケ感のある」写真を撮る方法

さて、実は「ボケ感のある」写真をコンデジで撮る裏技があります。方法は次のとおりです。

1.マクロ撮影  にする
2.望遠にする
3.被写体に近づける距離の範囲内でできる限り近づく
(画面の2/3くらいを被写体が占めるようにする)
4.ボカしたいものは少し遠くに置く
5.オートフォーカスエリアを自分で指定できる機能(AFフレーム/エリア選択)を使いピントを被写体に合わせる
6.シャッターを押す

2の”「ボケ感がない」ことを逆手にとってみよう”の写真と比べてみてください。「ボケ感のある」写真になりました。

ちなみに、手順5のときに真ん中のコップを選択すると、こんな感じになります。

前のコップにピントをあわせたときと比べると前と後ろがうっすらとボケています。ただ、ボケ感は少なくなりました。

この裏技はメインの被写体に近づかないと効果が発揮されないので、構図に制限が出てきます。それでもコンデジで「ボケ感のある」写真を撮ってみたいという方はぜひチャレンジしてみてくださいね。


渡邉 真弓 / Mayumi Watanabe

札幌で活動するフォト・クリエイター。
写真の撮影、執筆や写真を使った雑貨の製作など、写真にまつわる活動をしています。
愛用のカメラはPolaroid690、Canon EOS5D、Minolta AUTOCORD。
共著『Cute Photographer~おしゃれな写真が撮れる本~』(翔泳社2008年5月)や女子カメラ等の雑誌に掲載。
2009年からAMUCHOCOカメラ教室(札幌市)を始め、ときどき北海道新聞「とまこむ」紙面カメラ講師も。
2011年5月アルテピアッツア美唄にて個展「air」を開催。

Website “allo?”
http://www.allo-japon.com/

Twitter
@allo_mayumi

撮影協力:
スゥイーツカフェ AMUCHOCO(札幌市)
http://www.amuchoco.com/