Parallels RAS の簡易インストール手順をシリーズでご紹介していきます。シリーズ第一弾は、Parallels RAS についての説明からです。
1.はじめに
このドキュメントの 目的
本ドキュメントは、Parallels RASをインストールし、簡単な検証を始めたいユーザーや、スモール環境での利用を検討しているユーザーを対象としています。本ドキュメントの通りに進めることにより、Parallels RASの環境を構築し、インターネットからRemote PC(社内自席のPCなど)やRDSサーバーに対し、安全にアクセスし、デスクトップを利用することが可能となります。
>>PDF版資料・Parallels RAS 簡易インストール手順書
制限事項
本ドキュメントの内容は、Microsoft Azure上の仮想サーバーを利用し、Parallels RASは「RAS Version 19.1.23476」を利用しています。
また、RASのコンポーネントが動作するサーバーとRDSサーバーは、「Windows Server 2022 Datacenter: Azure Edition – x64 Gen2」を利用し、Remote PCは「Windows 11 Pro, version 22H2 – x64 Gen2」を利用しております。その他の環境やバージョンでは、手順通りに進まない場合があることを、予めご承知ください。
2.Parallels RAS コンポーネントとアーキテクチャ
コンポーネント
Parallels RAS コアコンポーネント
RAS Connection Broker(CB)
RAS Connection Brokerでは、公開済みのアプリケーションおよびデスクトップのロードバランスが実行されます。RASのコアコンポーネントになります。
RAS Secure Gateway(SG)
アプリケーションで必要とされるすべてのトラフィックを単一のポートでトンネリングして、安全な接続を実現します。
オプションの Parallels RAS コンポーネント
RAS RD Session Host Agent: RDSHは、リモートデスクトッププロトコル(RDP)をサポートするリモートクライアントがアプリケーションと制限のないデスクトップ環境にアクセスできるようにします。Windows 2008 R2から、ターミナルサービスはRDSHに置き換えられました。
RAS Provider Agent: Parallels RAS Infrastructure から情報が収集され、ネイティブ API を介して VDI が制御されます。RAS Provider Agent は、RAS Connection Broker に組み込まれておりデフォルトで利用可能です。これは、Parallels RAS ファームで複数のプロバイダーを制御するために使用できます。
Remote PC Agent: 物理PCにリモートアクセスするためのAgentになります。RAS Connection Brokerで必要とされる情報がRemote PCホストから収集され、必要に応じてRAS Connection Brokerに送信されます。
RAS Guest Agent: RAS Connection Brokerで必要とされる情報がVDIデスクトップから収集され、必要に応じてRAS Connection Brokerに送信されます。
HALB: 高可用性ロードバランス(HALB)は、RAS Secure Gatewayに負荷分散を提供するアプライアンスです。Parallels HALB仮想アプライアンスは次のハイパーバイザーで利用できます。(Hyper-V、VMware)異なるHALBデバイスを表す複数のHALB仮想サーバーを単一のサイトに展開できます。
RAS Reporting Service: Parallels RAS管理者が定義済みおよびカスタムのParallels RASレポートを実行および表示するのに使用するオプションのコンポーネントです。定義済みのレポートにはユーザーおよびグループのアクティビティ、デバイス情報、セッション情報、アプリケーション使用率が含まれます。独自の基準を使用してカスタムレポートを作成することもできます。
RAS Performance Monitor: ブラウザーベースのダッシュボードで、管理者がParallels RASの展開のボトルネックやリソース使用率の分析に使用できるようになっています。このダッシュボードではパフォーマンスメトリクスを視覚的に表示でき、Parallels RAS Consoleまたはウェブブラウザーに表示することができます。
Parallels Client
Parallels Clientを用いて、各種クライアント端末より、公開設定されたアプリケーションやデスクトップへアクセスすることが可能です。以下は対応クライアント端末となります。
- Windows 7、8.x、10、11
- Windows Server 2008 R2 から Windows Server 2022 まで
- macOS 10.13 High Sierra から macOS 12 Monterey まで。Parallels Client は、Intel または Apple M1、いずれのチップを搭載する Mac コンピューター上でもネイティブに動作します。
- iOS 13.x、14、15、iPadOS 13.x および 14、15。
- Android 7 から 12 まで
- Chrome OS
Parallels Client for Linuxは、次のLinux ディストリビューション(x64 版のみ)をサポートしています。
- Ubuntu 18.04 LTS、20.04 LTS
- Debian 10(Buster)、Debian 11(Bullseye)
- Fedora 34、35
- CentOS 7、8
- Linux Mint 19、20
- ThinOS/Dell Wyse Thin Clients。ThinOS 9 以降には対応していません。
- HTML5対応ブラウザー
- Microsoft Edge、Mozilla Firefox、Google Chrome、Safariなど
サポートするブラウザーは次の通りです。
- Parallels RAS管理ポータル、HTML5クライアント、およびウェブ認証は、Microsoft Edge(Chromium ベース)、Google Chrome、Mozilla Firefox、SafariなどのHTML5をサポートする最新のウェブブラウザーで実行することができます。
※Parallels Remote Application Server 19のリリースに伴い、Internet ExplorerはParallels RAS Management Portal、HTML5 Client、および Web認証コンポーネントにアクセスするためのサポートが終了しています。
アーキテクチャ
Parallels RAS は、シングルサーバー構成でインストールすることが可能です。これは、テストまたは 開発環境や小規模ユーザー向けの運 用に役立ちます。以下は構成イメー ジです。
また、Parallels RAS は、同じ構成環境のサーバーを複数台用意することで、マルチサーバー構成を簡単に展開することが可能で、耐障害性、スケーラビリティ、負荷分散を容易に構築することが可能です。
詳細については、「Parallels RAS Reference Architecture」を参照ください。
※注意:CBは、現行バージョンでは3台構成までとなります。
3.要件
システムとソフトウェア要件
※CCU = Concurrent Users(同時接続数)
※CB、SG、RDSは1台のWindows Serverへインストールし、シングルサーバー構成で運用することが可能です。ただしRDSを含めて運用する場合は、1台あたり30CCU程度を上限とすることを推奨いたします。
※Parallels RASの運用において、Active Directory(AD)は必須ではございません。
※CPU/Memoryのリソースはあくまでもコンポーネントが稼働する最低要件となります。OS稼働分は考慮しておりません。
※目安として、250CCUを超える場合は、CBとSGのサーバーは分けることを推奨いたします。
PDF版資料
Parallels RAS 簡易インストール手順書
リモートアクセスをオールインワンで実現