Parallels RAS – ユニバーサルプリント機能によるリモート印刷の強化

Parallels Remote Application Server(RAS)ユニバーサルプリント機能を使用して、公開アプリケーションやデスクトップから簡単に印刷

Parallels RASユニバーサルプリント機能のご紹介

Parallels RAS ユニバーサルプリント機能は、仮想化環境およびリモート環境での印刷におけるユーザーエクスペリエンスを向上させるように設計されています。ビジネスにおいてはリモートワーク、公開アプリケーションおよびデスクトップインフラへの依存が高まるにつれ、効率的でシームレスな印刷環境への重要性が増しています。

この最先端のテクノロジーは、ローカル印刷とリモート印刷のギャップを埋め、ユーザーが仮想アプリケーションやデスクトップからローカルまたはネットワークプリンターに簡単に印刷できるようにします。

Parallels RAS ユニバーサルプリント機能は、互換性の問題を排除して、印刷プロセスを簡素化することによって、多様なコンピューティング環境においてシームレスなユーザーエクスペリエンスを提供し、ワークフローを合理化して生産性を向上します。

Parallels RAS は、リモートセッションへのプリンタのリダイレクトを有効にする機能を提供します。これにより、ユーザーはローカルで使用可能なプリンタのすべて(またはサブセット)にアクセスできるようになります。もちろん、これは非常に一般的なリクエストですが、「RDP プリンタのリダイレクトが機能しない」というのは Microsoft Remote Desktop Services(RDS)/Azure Virtual Desktop(AVD)環境ではよくある問題です。

これらの環境は基本的な印刷機能を提供しますが、一般的に要求される高度な印刷シナリオをサポートするためには、サードパーティのソリューションを導入する必要があります。Parallels RAS は、優れたユーザーおよび管理者のエクスペリエンスを同一のライセンスで提供することによって、これらの高度な印刷機能をすぐに利用できます。これは、Microsoft RDP クライアントで設定できるデフォルトのリモートデスクトッププリンタリダイレクションおよびクライアントプリンタリダイレクション設定(easy print)をさらに上回るものです。

このブログ記事では、Parallels RAS ユニバーサルプリント機能が、エンドユーザと管理者それぞれに提供される機能について説明します。また、Remote Desktop Services(リモートデスクトップセッションホスト)や Azure Virtual Desktop(AVD)の Microsoft ネイティブ印刷ソリューションと機能を比較し、期待される機能強化について詳しく説明します。

印刷の特徴および機能

Parallels RAS は、圧縮、多機能サポート、パフォーマンス向上、および最適化されたユーザーエクスペリエンスを提供します。以下の表に、Parallels RAS が提供する主な印刷機能の概要を示します。

機能と特徴Parallels RAS ユニバーサルプリント機能Microsoft ネイティブRDS/AVD
ローカルプリンターリダイレクトはいはい
特定のグループもしくはユーザーに対する、特定のプリンターリダイレクトの許可はい限定的(リダイレクトする特定のプリンタを選択するオプションはありません)
ローカルでの変更に基づくデフォルトプリンタの動的更新はいいいえ(Logoff → Logonが必要)
ローカルでの変更(追加、削除、更新)に基づくリダイレクトされたプリンタの動的更新はいいいえ(Logoff → Logonが必要)
リダイレクト先のプリンタの命名規則の制御はいいいえ
セッション再接続時に10台のリダイレクトプリンターを再作成する平均時間1秒以内10秒以内
広範なクライアントOSをサポート(Windows、MacOS、Linux、Android、iOS、Webクライアント)はい限定的(クライアントOSに依存)
印刷ジョブへのデフォルト以外のフォントの添付、フォントをキャッシュによる印刷の高速化、セッションホストサーバーへのフォントの自動配布はいいいえ
リダイレクトされたプリンタの準備完了後に公開アプリケーションを起動するオプションはいいいえ
クライアントプリンタが、サーバー上で最初のページが準備できた直後に印刷を開始する(EMFを使用)。はいいいえ
クライアントでのベクター描画を回避し、特定のデバイス用に印刷を最適化するために、印刷ジョブを画像として送信する設定ができる。はいいいえ

印刷のシナリオと提供されるメリット

Parallels RAS は、ドライバをインストールしなくても様々なプリンタをサポートすることができます。これにより、プリンタドライバの競合のリスクがなくなり、個別のポリシー、サードパーティツール、およびスクリプトが不要になります。また、ローカルにインストールされているあらゆるプリンタにアクセスできます。管理が簡単でアクセスが容易なため、運用コストの削減につながります。

Parallels RAS ユニバーサルプリント機能は、印刷データを圧縮することによって印刷プロセスを最適化し、印刷ジョブに必要な帯域幅を削減します。この最適化は、帯域幅が限られた接続やリモート環境で作業する場合に特に役立ちます。

さらに、Parallels RAS は IT 管理者のプリンタ管理を簡素化します。グループポリシーやカスタムスクリプトに切り替える必要はありません。プリンタ、プリンタドライバ、フォント、印刷ポリシーをひとつのコンソールで集中的に管理・制御できるため、印刷インフラ管理にかかる時間と労力が節約されます。

リモート環境のユーザーにとって、Parallels RAS は信頼性と一貫性のある印刷機能を提供し、全体的なユーザーエクスペリエンスを向上します。管理者は、ユーザーがアクセスできるプリンタを制御するためのポリシーと条件を設定することができます。ユーザーには、多機能プリンタやマルチラベルプリンタなどを使用する際の高度な設定を含め、ローカルで使用可能なプリンタと同じプリンタ環境設定が提供されます。

Parallels RAS は、ログオン時や既存のセッションへの再接続時にプリンタを(再)接続する時間も大幅に短縮します。これにより、スムーズで透過的な印刷が可能になります。

ユニバーサルプリント機能の技術的詳細と実例

このセクションでは、ユニバーサル印刷機能の具体的な技術的詳細についてより詳しく説明します。これらの機能を組み合わせることで、追加ライセンスやサードパーティツールを使用せずに、必要とされるエンタープライズ印刷管理を実現できます。

集中管理ツールによる、複数のグループポリシーが不要

Microsoft Remote Desktop Services(リモートデスクトップまたはリモートアプリ)では、リモートデスクトップセッションホストを設定するために複数のグループポリシー設定が必要ですが、Parallels RAS では、特定のユーザーまたはグループに対してローカルプリンタのリダイレクトを制御するポリシーを簡単に作成することができます。ポリシーによって、クライアント側の Parallels Clientのオプションの設定を制御することができます。

特定のユーザーまたはグループに対するプリンターリダイレクトの無効化/有効化

ある特定のグループに対して特定のプリンタのリダイレクトを許可し、他のグループに対しては拒否する(またはその逆)という要望は非常によくあります。Parallels RAS では、ローカルプリンタの特定のサブセットに対してリダイレクトを有効または無効にすることができます。Microsoft RDS/AVD(easy print)では、クライアントプリンタのリダイレクトを許可したり、ローカルプリンタのリダイレクトを許可しないオプションを選択することができますが、リダイレクトする特定のプリンタを選択することはできません。

デフォルトプリンタを動的に更新する

Microsoft RDS/AVD(easy print)と Parallels RAS では、デフォルトプリンタのみをリダイレクトするオプションを設定できます。Microsoft RDS/AVD を使用している場合は、デフォルトのローカルプリンタがセッション中に変更されると、リモートデスクトップサーバ上で動的に変更されないため、ユーザーは更新後のローカルプリンタに再接続する必要があります。一方、Parallels RAS を使用すると、デフォルトのローカルプリンタがリモートセッション上で動的に更新されるため、再接続が不要になります。これにより、優れたユーザーエクスペリエンスが実現します。

動的なプリンターリダイレクト

デフォルトプリンタを動的に更新するだけでなく、Parallels RAS は完全な動的プリンターリダイレクトも提供します。ユーザーがセッション中にローカルプリンタの環境設定を変更した場合、リダイレクト先のプリンタもその変更に従います。つまり、変更内容はリダイレクト先のプリンタ環境を設定する UI で直接確認することができ、セッションから開始される次の印刷ジョブに使用されます。

さらに、ユーザーがすべてのローカルプリンタをリダイレクトし、その後、これらのプリンタの一部を追加、削除、または名前を変更した場合、リモートデスクトップ接続を閉じて開き直すことなく、変更がリモートセッションに反映されます。これにより、ユーザーエクスペリエンスが向上し、非常にスムーズかつダイナミックで透過的な印刷が可能になります。

以下のビデオでは、ダイナミックプリンターリダイレクトが実際に動作している例を紹介します。

リダイレクトされたプリンタの命名規則を制御する

Easy printに基づく、ネイティブRDS/AVDでプリンタのリダイレクトを使用する場合、リダイレクトされるプリンタの名前には、例えば”(redirected 3) “のような接尾辞が付きます。使用されている命名規則をコントロールすることはできませんが、これはエンドユーザにとってより透明性を高めるための一般的な要求です。Parallels RAS では、クライアント名、クライアントプリンタ名、ユーザー名、セッション ID などの変数を含む指定された命名パターンに従って、リダイレクトされるプリンタ名を制御することができます。

ログオン時および再接続時のプリンターリダイレクトの高速化

Parallels RAS はプリンタのリダイレクトを高速化します。ネイティブ RDS/AVD では、プリンタのリダイレクトに時間がかかることがあります。Parallels RAS では、以前に使用されたプリンタ環境設定がクライアントにキャッシュされ、リダイレクトされるすべてのプリンタに対してプリインストールされた共通ドライバがリモート側で使用されるため、ログオン時の動作が大幅に高速化されます。

さらに、Parallels RAS ではセッションが切断されるとプリンタがオフラインに設定され、再接続時に再びオンラインになります。これにより再接続が大幅に高速化され、アプリケーションの起動時にすべてのプリンタを把握しておく必要がある従来の Windows アプリケーションで使用されるプリンタを失うことがなくなります。

以下のスクリーンショットは、この動作を示しており、すべてのプリンタをオフラインから準備完了に変更するのにかかる時間はわずか約1秒です。平均して、これはネイティブRDS/AVDの約10倍の速さです。

以下のビデオでは、ネイティブRDS/AVDと比較して、セッション再接続時にプリンタを迅速に利用できることを示しています。 

広範囲なクライアントのサポートと、印刷フォーマットのサポート

Parallels RAS のユニバーサルプリント機能は、Windows、macOS、Linux、Android、iOS、およびWebクライアントから利用できます。macOS では、印刷物を PDF 形式で保存するための事前定義されたソフトウェアプリンタも用意されています。さらに、Parallels RAS ユニバーサルプリント機能は、クライアントに配信される印刷ジョブのさまざまな印刷形式をサポートします。EMF(Windows クライアントのみ)、PDF、BMP、および RAW 形式が含まれ、ネイティブ RDS/AVD は XPS 形式のみをサポートしています。

EMFは、ベクターグラフィックや、高品質の画像を、透過性をサポートして印刷する必要がある場合に使用されます。PDFは、異なるデバイスやオペレーティングシステム間でレイアウトやフォーマットを保持したまま文書を共有したり印刷したりする必要がある場合によく選択され、文書に反復的な内容が多く含まれる場合に効率的です。BMPは、高画質画像用の非圧縮で不可逆なフォーマットが必要な場合や、ファイルサイズを重視しない場合に使用します。XPS(Windowsのみ)は、複雑なレイアウトやグラフィックを含むドキュメントを作成し、異なるプラットフォーム間でドキュメントの整合性を維持する場合に選択します。そして最後に、RAWは、デジタルカメラで撮影した画像データを最大限に保持する必要がある場合、特にプロの写真撮影や画像編集で使用されます。

Parallels RAS は、あらゆる環境に最適な印刷フォーマットを選択できる柔軟性と自由度を提供します。

フォントとキャッシュの操作

印刷ドキュメントがサーバーにインストールされているフォントを参照する場合、Parallels RAS はそのフォントを(除外リストもしくはプリインストールリストに指定されていない場合)印刷ジョブと一緒に配信し、物理プリンタドライバによってクライアント側でラスタライズします。さらに、配信されたフォントはクライアントにもキャッシュされ、キャッシュされたフォントについてはそのハッシュのみが転送されます。これにより、サーバーとクライアント間の不要なトラフィックが回避され、処理が高速化されます。

特定のフォントをすべてのセッションホストサーバーに自動的に配布し、最初の接続時にWindowsクライアントに自動的にインストールすることもできます。これにより、組み込まれていないフォントを使用する際に非常にスムーズな操作性を実現します。ネイティブのRDS/AVD Easy Printでは、組み込まれていないフォントがクライアント側に存在しない場合、適切に印刷するオプションはありません。

 

公開アプリケーション起動前のプリンター待機

従来の Windows アプリケーションでよくあるシナリオとして、Windows アプリケーションでプリンタが表示されない状況を回避するために、アプリケーションを起動する前にプリンタを表示する必要があるという事があります。この問題を解決するために、Parallels RAS ユニバーサルプリント機能には、リダイレクトされたプリンタが表示された後にのみ公開アプリケーションを起動するオプションがあります。これにより、特定のアプリケーションから印刷するために、ユーザーがアプリケーションを閉じたり開き直したりする必要がなくなります。

印刷ジョブの高速化

Parallels RAS ユニバーサルプリント機能を用いてEMF 形式で印刷を行う場合、クライアントプリンタはサーバー側で最初のページが準備できた直後に印刷を開始します。その後、サーバー側は印刷準備ができたページを 1 ページずつ送信します。これにより、大きな複数ページの文書の印刷が大幅にスピードアップします。このオプションは、クライアント側プリンタの詳細オプションの設定で構成でき、ウェブクライアントやモバイルクライアントからの印刷にも適用されます。

結論

リモートワークもしくはハイブリッドな形態が新たな標準となりつつある現在、クライアントプリンタのリダイレクトを許可するオプションだけでなく、透過的でシームレスな、手間のかからない印刷が求められています。さらに、多くの従来のビジネスクリティカルなアプリケーションには、プリンタの可用性、プリンタの環境設定、フォント、および設定に関する厳しい要件があります。

Parallels RAS ユニバーサルプリント機能は、これらの要件に関する問題を解消し、シームレスな印刷環境を提供することによって、プロセスを合理化して生産性を向上します。「RDP プリンターリダイレクトが機能しない」というシナリオは過去のものです。ユニバーサルプリント機能は、Windows ServerおよびWindowsクライアントのオペレーティングシステムに適用できます。ユニバーサルプリント機能は、追加費用なしで Parallels RAS に付属しています。

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